藤宮史の二番煎じなアートな気分

手軽で笑える現代美術的なことをやって、不定期に掲載します。

第7回 文学Tシャツ

                  はじめに

 ここ15年ほどの私の創作活動は、猫の木版画制作や木版漫画制作がおもな仕事になっていた。しかし、これからは現代美術的な匂いのする「藤宮史の二番煎じなアートな気分」もときどきやりながら版画制作もやってゆきたいと思う。

                  ✤✤✤ 今回の提案 ✤✤✤

 この文学Tシャツは、今から17年ほどまえの発案計画で、衣料店に自分好みのTシャツの絵柄がなかったことが創作の動機である。これはアートというよりはファッション的な要素がつよく一般的に芸術と思われないが、ここでは拡大解釈しながら「アートな気分」として取り上げたいと思う。

  実際につくってみる

 まずアイロンと、アイロンプリントシートを用意する。

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このアイロンプリントシートはパソコンのプリンターで印刷できる。

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アイロンを使って10分ほどで簡単にできる。

 

 たちまち、いろいろな文学Tシャツができあがった。

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坂口安吾の「堕落論」の文章が印刷されている。

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こんなTシャツがあればよかったが売ってなかった。(これは非売品である)

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詩人の瀧口修造をTシャツにしてみた。

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布地に印刷してあるから画像はしぜんと歪んでいる。

 

 暗黒舞踏の創始者 土方巽も取りあげてみた。眼光の鋭い顔をトリミングしてみた。

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舞踏家の土方巽である。「病める舞姫」が印刷されている。

 

 そして、大正文学の巨匠 芥川龍之介である。

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小説家 芥川龍之介である。「侏儒の言葉」の一文が印刷されている。

 

 文学ではないが、思いついたので、こんなものも作ってみた。

 元祖・蟻Tシャツである。17年ほどまえに井の頭公園で展示発表していたが、その頃は、世の中に蟻Tシャツや文学Tシャツの商品はなく、その後、それらを模倣した物が出回るようになっていった。

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小さなTシャツに蟻の絵柄をプリントした。

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また、他にこんなものも作ってみた。

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和本の孟子の文章を印刷してみた。

コラージュした絵もプリントしてみた。

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90年代初期、今から25年ほどまえの作品をTシャツ化した。

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懐かしい気持ちがする。

アイロンプリントはけっこう楽しく、だれでも手軽に表現の幅がひろがってゆくと思う。

 

 

藤宮史 (フジミヤ フヒト)

1964年生まれ 版画家、漫画家

 平成17年(2005年)第7回アックスマンガ新人賞を受賞する。また第12回、13回、17回の文化庁メディア芸術祭において審査委員会推薦作品に選出される。1999年から2002年の三年間、漫画家の永島慎二氏の銅版画制作の助手をつとめる。