第12回 積むアート
はじめに
ここ15年ほどの私の創作活動は、猫の木版画制作や木版漫画制作がおもな仕事になっていた。しかし、これからは現代美術的な匂いのする「藤宮史の二番煎じなアートな気分」もときどきやりながら版画制作もやってゆきたいと思う。
✤✤✤ 今回の提案 ✤✤✤
今回は、また趣向をがらりと変えて、誰でも、どこでも、すぐにできるアートを提案してゆきたい。しかし、これから提案するものが、はたしてアート(芸術)かどうかは、わからない。そういえば、反芸術、非芸術もしくは、半芸術、駄芸術なる言葉があったことを思い出す。今回の提案は、そのどれにも該当しない感じもあるが、気にせずどしどしやってゆきたい。
■実際にやってみる
まず、テーブルの上に10円硬貨を数枚用意して、テーブルの上に10円硬貨を1枚縦に立てる。
▲よく見かける光景である。
▲ちょっと、斜めから見たところ。
▲真上から見ると、こんな感じである。
次に、その立てた10円硬貨の上に、そっと別の10円硬貨をのせてみる。
▲これは、わりあい簡単にできる。
次が、なかなか難しい。
▲これができれば、あとは同じことの繰り返しである。
▲精神を統一すれば、不可能はない。
▲だんだん調子がのってきた。
▲いい調子である。このぶんでゆくと、10枚のせも夢ではない。
▲もうひと息である。
▲これだけ載せると、手がふるえてくる。
▲やっと、9枚のせた。10枚は、ちょっと無理である。
それから、また今度は10円硬貨を立体的に積んでゆきたい。まず、10円硬貨を数枚テーブルの上に用意する。
そして、1枚づつ積んでゆく。
▲慎重に、置く。
▲やはり、むずかしい。
▲しずかに、慎重に・・・。
▲息がつまるようである。
▲・・・・・ふぅ。
▲さすがに、これは、ここで限界。気持ち斜めに傾いている。
「積むアート」如何でしたでしょうか。これからも、いろいろと積んでゆきたいと思います。(これは洒落アート的なもので、ギネスに載るようなものではありません)
藤宮史 (フジミヤ フヒト)
1964年生まれ 版画家、漫画家
平成17年(2005年)第7回アックスマンガ新人賞を受賞する。また第12回、13回、17回の文化庁メディア芸術祭において審査委員会推薦作品に選出される。1999年から2002年の三年間、漫画家の永島慎二氏の銅版画制作の助手をつとめる。