藤宮史の二番煎じなアートな気分

手軽で笑える現代美術的なことをやって、不定期に掲載します。

第13回 マイクロ・バカンス

                 はじめに

 ここ15年ほどの私の創作活動は、猫の木版画制作や木版漫画制作がおもな仕事になっていた。しかし、これからは現代美術的な匂いのする「藤宮史の二番煎じなアートな気分」もときどきやりながら版画制作もやってゆきたいと思う。

              ✤✤✤ 今回の提案 ✤✤✤

 今回のアートは、バカンス気分でゆきたい。バカンスといえば別荘である。現実の、別荘暮らしは、夢のまた夢状態であるので、おもちゃの、人形サイズの別荘にお邪魔する。

 ■実際につくってみる

 近所の模型店へ走り、別荘の素材を仕入れる。10㎜角の木材や2、3㎜厚の板を、部屋の壁、家具やフローリングの床板、小物の寸法に加工してゆく。

 画像だけ見ると、あっ、というまに別荘は出来あがったように見える。しかも、しばらく放置していたので、部屋は廃屋のようになっている。

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部屋全体に埃があつく積もり、蜘蛛も糸を張っていた。

 

 部屋の灯りをつけて、片付けをはじめる。

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標本箱、書籍の埃を取って掃除をする。

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部屋のあるバケツとモップを持ってくる。

 

 1時間ほど掃除をして、きれいに片付いた部屋でひと息いれる。

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出来たばかりの別荘なのに、もう何年も人が住んでいない雰囲気がある。

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窓外には白樺の林がひろがり、樹間からは青い空がのぞめる。

 

 しばらくすると、にわかに眠気を覚え、椅子に坐って昼寝をした。

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 夢をみているのだろう。私は別荘の部屋のなかで、眠っている私をよこで眺めていた。

 

 目がさめてから、裏山にゆき、光る鉱石をたくさん採取した。標本箱に収めて分類整理をする。

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光る鉱石は、隕石だと云われている。

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鉱石をつかって、天球儀のなかに人工の小宇宙をつくってみる。

 光る鉱石を砕いて、薄荷水のなかに漬け、その薄荷水を羽ペンの先につけて天球儀のなかに宇宙を描いてゆく。

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羽ペンの先からだんだん光りはじめる。

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天球儀のなかに小宇宙があらわれた。

 

 

藤宮史 (フジミヤ フヒト)

1964年生まれ 版画家、漫画家

 平成17年(2005年)第7回アックスマンガ新人賞を受賞する。また第12回、13回、17回の文化庁メディア芸術祭において審査委員会推薦作品に選出される。1999年から2002年の三年間、漫画家の永島慎二氏の銅版画制作の助手をつとめる。