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藤宮史の二番煎じなアートな気分

手軽で笑える現代美術的なことをやって、不定期に掲載します。

第16回 告白アート(別バージョン)

                 はじめに

 ここ15年ほどの私の創作活動は、猫の木版画制作や木版漫画制作がおもな仕事になっていた。しかし、これからは現代美術的な匂いのする「藤宮史の二番煎じなアートな気分」もときどきやりながら版画制作もやってゆきたいと思う。

              ✤✤✤ 今回の提案 ✤✤✤

 昭和30〜40年代のころは、よくローセキをつかって路面に落書きをする子供たちの、元気に遊ぶ姿がみられたものであった。今の、平成の世となってからは殆んど見かけなくなった。その古き良き時代への哀惜の念をこめて、齢五十一となった身の上なれど、愚直に、真摯に落書きを実行してゆきたい。

 告白アートと名づけてみたが、告白と云うには、それほど深刻ではなく、軽く、楽しく、滑稽感がでればと思う。(前回は告白であったが、今回は別バージョンとして、もはや告白の範疇でないものもやってゆきたい) 今回もローセキやチョークなどを使わずに、厚めのボール紙でつくったステンシル版を黒土の上に置き、その上から砂糖を降り注ぐことで文字を書いてゆきたい。このステンシル版使用の落書き方法は、ローセキやチョークで直接路面に書くのとちがい、瞬時に明朝体や角ゴシック体、草書、隷書が書けてしまう。

 ■告白アートを、実際につくってみる

 春になったが、相変わらず炬燵に足を入れ、ぽつりぽつりとステンシル版を切り出してゆく・・・・・・と、言っても、それほど簡単にことは済まない。まず、パソコンでワードを開き、落書きする文字を打ってゆく。その文字を大きくしてプリンターで印刷。文字を印刷した紙を厚ボール紙の上に置き、小さく切ったセロテープで二か所を固定。印刷した紙と厚ボール紙の間にカーボン紙をはさみ、文字を印刷した紙の文字をボールペンでなぞって書く。すると厚ボール紙に文字が転写される・・・・・・・・と書いてゆくと際限がないが、とにかく、ステンシル版を切りだしてゆく。

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厚ボール紙はシナベニヤ板のように硬く文字の切り出しは容易ではない。

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▲字画が多くて、文字を切り出すのに難渋する。これは木版画の製版とほとんど同じだけの仕事量である。

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▲今回は、砂糖を用意する。小さい金笊と茶漉しを使って砂糖をステンシル版の上に撒く。

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▲あらかじめ庭の地面を整地しておく。

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▲地面にステンシル版を置き、

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▲砂糖を撒く。

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▲地面の上に砂糖が撒かれた状態である。

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▲あとは砂糖に蟻が来るのを待つ。

 

・・・が、蟻は、なかなか来ない。

大挙して黒山の如く押し寄せるはずであるが、来ない。

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▲1ミリほどの小さな蟻が、肉眼では確認できるが、画像ではわかりにくい。

砂糖を、砂糖パウダーではなく、グラニュウ糖にしたのがいけなかったようだ。

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▲2、3の蟻の姿は確認できるが、ほとんど砂糖には関心を示していない。

 

「蟻がくる」のはずであったが、蟻は来なかった。

 

 

藤宮史 (フジミヤ フヒト)

1964年生まれ 版画家、漫画家

 平成17年(2005年)第7回アックスマンガ新人賞を受賞する。木版漫画集「黒猫堂商店の一夜」(青林工藝舎)を刊行。また第12回、13回、17回の文化庁メディア芸術祭において審査委員会推薦作品に選出される。1999年から2002年の三年間、漫画家の永島慎二氏の銅版画制作の助手をつとめる。